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『最後の皇帝と謎解きを』あらすじ・解説|紫禁城×クローズドサークルミステリー【このミス大賞受賞作】

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最後の皇帝と謎解きを 犬丸幸平 このミス

第24回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した犬丸幸平『最後の皇帝と謎解きを』。

2026年1月の刊行以来、歴史本格ミステリーの枠を超えた人間ドラマとして高い評価を得ている一冊を紹介します。

『最後の皇帝と謎解きを』は、こんな人におすすめ

  • 本格ミステリ好き
    紫禁城という特殊な舞台を活かした、物理的・制度的な密室ロジックを堪能したい。

  • 歴史小説好き
    1920年代の中国、清朝末期の激動の時代背景をリアルに感じたい。

  • 重厚な人間ドラマを求めている
    孤独な皇帝と日本人絵師、立場を超えたバディの信頼関係に深く浸りたい。

  • 「このミス」大賞受賞作をチェックしている
    2026年を代表する話題作のクオリティを確かめたい。

『最後の皇帝と謎解きを』作品概要とあらすじ

基本データ
項目 内容
著者 犬丸幸平
出版社 宝島社
受賞歴 第24回「このミステリーがすごい!」大賞・大賞
旧題 『龍犬城の絶対者』(応募時のタイトル)
概要・あらすじ

舞台は1920年代の中国。

かつての巨大帝国「清」が滅びた後も、幼き皇帝・溥儀(ふぎ)は、例外的に巨大な宮殿「紫禁城」で暮らし続けていた。

偽りの師弟関係

そこへ、日本人絵師の一条剛が、溥儀に絵を教える師範として招かれる。

しかし、二人の出会いには裏があった。
真の目的は、城にある貴重な美術品を「ニセモノ(贋作)」とすり替え、本物を売ったお金で帝国の復活を目指すという極秘のすり替え計画だった。

動き出す運命

厳重に守られた城内で、次々と起こる不審な事件。

  • 閉ざされた部屋で見つかった死体
  • 消えたはずの美術品の謎

自由を奪われ孤独に生きる少年皇帝・溥儀と、密命を帯びた絵師・一条。
立場も国籍も違う二人は、反目し合いながらも力を合わせ、宮殿に渦巻く陰謀に立ち向かっていく。


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『最後の皇帝と謎解きを』における変則的クローズド・サークルの構造

本作の最大の特徴は、広大な紫禁城を「物理的障壁」と「制度内障壁」の二重構造によって、巨大なクローズド・サークルとして定義した点にあります。

1. 制度による「見えない壁」

紫禁城内は、皇帝の私的空間である「内廷」と、公的な儀式の場である「外朝」に分かれているだけでなく、身分(宦官、宮女、皇族、官僚)によって通行可能な区域が厳格に定められています。

  • 【権限の断絶】
    隣接する建物であっても、身分や役職が異なれば立ち入りは死罪に値するほどの禁忌となります。

  • 【心理的・社会的制約】
    物理的な扉が開いていても、制度上の制約が移動を不可能にするという、歴史ミステリ特有のロジックが成立しています。

2. 物理的広大さと「限定された動線」

紫禁城は膨大な数の部屋を有しますが、夜間の門の施錠や、特定の区域の封鎖により、実際の移動経路は非常に限定的です。

  • 【広さの逆説】
    敷地が広大であればあるほど、管理・監視の目が届かない死角が生まれる一方で、正規のルートを通らざるを得ない制約が、容疑者の絞り込みやアリバイ工作のロジックに直結しています。

3. 独自の不可能犯罪

これら「物理」と「制度」の両軸が組み合わさることで、以下の状況が生み出されます。

  • 「そこにいるはずのない人物」が現場に現れる謎。
  • 「立ち入り権限のない者」による犯行の可否。
  • 巨大な迷宮でありながら、特定の身分を持つ者にとっては「逃げ場のない檻」となる逆説。

この緻密な骨格は、紫禁城という広大な舞台を「逃げ場のない密室」として成立させており、物語における不可能犯罪の基盤となっています。

溥儀と一条のバディ関係と歴史的仕掛け

溥儀と一条のバディ要素や、緻密な時代背景と仕掛けが本作の見どころです。

溥儀と一条のバディ要素

孤独な少年皇帝と、密命を帯びた日本人。二人の間に芽生える奇妙な友情と、時代の荒波に翻弄される姿が叙情的に描かれています。

圧倒的なリアリティ

紫禁城の建築構造や、当時の複雑な政治情勢がロジックの一部として組み込まれており、歴史ファン・ミステリファン双方を唸らせる仕上がりとなっています。

閉ざされた王宮で交錯する嘘と真実が、壮大なスケールで描き出される歴史本格ミステリーです。

『最後の皇帝と謎解きを』総評

『最後の皇帝と謎解きを』は、紫禁城という「世界最大の密室」を舞台に、王朝最後の謎を解き明かす物語です。

本格ミステリとしてのロジックの鮮やかさはもちろん、歴史の激動期を背景にした重厚な人間ドラマは、2026年を代表する一冊となり得る傑作です。

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